2010 Fiscal Year Annual Research Report
高密着性・高アブレシブ性を有する新しい切削工具用被膜の開発
Project/Area Number |
20560120
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
和田 任弘 奈良工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10141912)
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Keywords | 切削 / 工具摩耗 / コーテッド工具 / 焼入れ鋼 / W系被膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高密着性・高アブレシブ性に優れたTi-W系被膜を開発し、この被膜特性を調べ、さらに、この被膜を持つコーテッド工具で、焼入れ鋼の切削を行い、開発した被膜の有効性を明らかにすることである。 平成22年度では、ターゲットに、Ti-W-Si合金にAlを加えたTi-W-Si-Al合金ターゲットを使用した。ここで、Wは母材と被膜の密着強度を高め、Siは被膜組織を緻密にして被膜を硬くし、Alは被膜の耐酸化性を高める効果がある。この合金ターゲットを用い、N_2ガス、あるいはCH_4の反応ガス雰囲気中で超硬合金K10種を母材としてPVDコーティングを行い(Ti、W、Si、Al)N膜、(Ti、W、Si、Al)(C、N)膜、(Ti、W、Si、Al)C膜を形成させ、この被膜特性を調べた。その結果、(Ti、W、Si、Al)N膜の被膜硬さ3700HV_<0.25N>は、(Ti、Al)N膜の硬さ2710HV_<0.25N>に比べてかなり高硬度であった。また、(Ti、W、Si、Al)C膜、および(Ti、W、Si、Al)(C、N)膜の被膜硬さは、それぞれ2800HV_<0.25N>、および3500HV_<0.25N>であった。(Ti、W、Si、Al)N膜の密着強度50Nは、(Ti、Al)N膜の密着強度73Nに比べ低かった。また、(Ti、W、Si、Al)C膜、および(Ti、W、Si、Al)(C、N)膜の密着強度は、いずれも100N以上であった。そこで、(Ti、W、Si、Al)N膜については、中間層に(Ti、W)Nを用いた【(Ti、W)N-(Ti、W、Si、Al)N】膜を試作し、工具摩耗を調べた。ダイス鋼SKD11(HRC60)を、切削速度0.5m/s、送り0.2mm/rev、切込み0.1mmで旋削し工具の摩耗進行を調べた結果、【(Ti、W)N-(Ti、W、Si、Al)N】膜の摩耗進行は、(Ti、W、Si)N膜に比べ遅かった。
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