2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボン分散イオン性液体ゲルの生成およびトライボロジー特性の基礎的研究
Project/Area Number |
20560123
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 敦 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50242277)
|
Keywords | トライボロジー / ナノカーボン / ゲル / イオン性液体 |
Research Abstract |
真空,高温など特殊環境における潤滑技術の向上が求められている.イオン性液体はこうした環境でも安定な物質であることが知られており,潤滑液として有望とされている.そこでナノカーボンを分散させたイオン性液体ゲルを生成するのに先立ち,イオン性液体自体のトライボロジー特性の評価を重点的に行った.イオン性液体としてイミダゾリウム系カチオンとフッ素系アニオンから成るものを選定した.イオン性液体を光硬化性樹脂である液状エポキシ樹脂に添加,混合し,紫外線を照射することにより固化させ,円板状に成形した.ボールオンディスク式摩擦試験により,このイオン性液体添加エポキシ樹脂とステンレス球との摩擦力を測定した結果,イオン液体の添加により空気中,真空中ともに顕著な摩擦係数の減少を確認した.しゅう動痕にはにじみ出たイオン性液体が存在するのが観察され,イオン性液体が潤滑液として機能したことを確認した.イオン性液体による摩擦係数の減少は,単にイオン性液体をエポキシ樹脂表面に滴下してしゅう動させた場合にも観察されたが,添加した場合に比べて摩擦係数はやや大きい傾向にあった.分散させるナノカーボンについては,主にカーボンオニオンの生成およびトライボロジー特性の評価を行った.カーボンオニオンは大気中,真空中ともに優れた潤滑材として機能し,特に高温の真空中で摩擦係数の低下が顕著であった.フラーレンについては摩擦を減らす効果を確認できず,多層カーボンナノチューブでは若干の摩擦係数の低下が確認された.
|