2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボン分散イオン性液体ゲルの生成およびトライボロジー特性の基礎的研究
Project/Area Number |
20560123
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 敦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50242277)
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Keywords | トライボロジー / ナノカーボン / ゲル / イオン性液体 |
Research Abstract |
カーボンオニオンとイオン液体は真空中や高温でも適用可能な潤滑剤として期待されており,この両者から生成されるカーボンオニオンゲルを基材となる樹脂に添加してコーティング摺動材を作製し,その潤滑特性を評価した.ナノダイヤモンド粒子を原料として熱処理法によりカーボンオニオンを生成し,イオン液体と混合,撹拌したのち余剰のイオン液体を分離することでゲル状物質を得た.このゲル状物質であるカーボンオニオンゲルが高い潤滑性を備えることを実験的に確認するとともに,カーボンオニオンゲルをエポキシ樹脂に添加し,シリコン基板表面にコーティングすることで摺動材を作製した.この摺動材の大気中での潤滑特性をボールオンディスク型摩擦試験機によって評価した結果,大気中で摩擦係数0.1以下を示し,エポキシ樹脂に自己潤滑特性を付与することができた.また,イオン液体のみを樹脂に添加した場合も高い潤滑性を示すことが報告されていることから,比較のため,摺動速度,荷重を変化させて様々な条件下で試験を行った.その結果,イオン液体のみを添加した樹脂コーティング,ゲルを添加した樹脂コーティングのそれぞれについて摺動速度が速い場合よりも遅い場合の方がより高い潤滑特性を示すこと,および荷重が大きいほどゲルを添加したコーティングの方が潤滑特性に優れることを明らかにした.さらに,真空中での摩擦試験の結果,ゲル添加樹脂は摩擦係数約0.06を示し,真空中で使用できる自己潤滑性材料としての可能性を示した.
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