2008 Fiscal Year Annual Research Report
ねじ谷底の残留応力分布に基づくボルトの疲労強度の定量化
Project/Area Number |
20560130
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 正弥 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (90134840)
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Keywords | ねじ / ボルト / 残留応力分布 / 疲労強度 / X線応力測定 / FEM解析 |
Research Abstract |
市販のねじ部品の疲労強度が大きくばらつく原因の一つは,ねじ転造によって生じるねじ谷底の圧縮残留応力と言われているが,現在の技術では,ねじ谷底の極めて狭い領域に集中する残留応力分布を正確に測定することは困難である.そこで,本研究では,ねじ部品と同一材料のブランクを用いてねじ谷底を模した環状丸溝試験片を製作し,X線残留応力測定を試みるとともに,FEM解析によって,試験片に生じる残留応力分布の推定を試みている. 微小部X線応力測定装置による応力測定の結果,転造丸溝谷底の圧縮残留応力は,表面よりも少し内部に入った部分でその大きさが最大になり,その形状は硬さ分布とほぼ対応することを見出すとともに,転造によって生じる残留応力は,転造後の熱処理(焼入れ焼戻し)によってほぼ喪失することを確認した. 一方,FEM解析では,二次元平面ひずみモデルによる転造過程のシミュレーションによって,ほぼ同様な残留応力を再現できることがわかったが,残留応力の大きさ及びその分布形には,モデルの拘束条件(固定端の条件及び接触面の摩擦係数)や負荷・除荷の条件が影響を及ぼすことから,解析では,実際の試験片で生じるであろう円周方向への材料流動を考慮したモデルの設定が必要であることがわかった.
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