2009 Fiscal Year Annual Research Report
ねじ谷底の残留応力分布に基づくボルトの疲労強度の定量化
Project/Area Number |
20560130
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 正弥 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (90134840)
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Keywords | ねじ / ボルト / 残留応力分布 / 疲労強度 / X線応力測定 / FEM解析 |
Research Abstract |
市販のねじ部品の疲労強度の推定には,ねじ転造によって生じるねじ谷底の圧縮残留応力を考慮した設計手法の確立が必要であるが,ねじ谷底の極めて狭い領域に集中する残留応力分布を正確に測定することは困難であるため,従来提案されていた仮説を定量的に検証するまでには至っていない.そこで,本年度の研究では,ねじ部品と同一材料のブランクを用いてねじ谷底を模して製作した環状丸溝試験片に対し,X線残留応力測定を試み,谷底丸み部分での残留応力の軸方向分布測定とFEM解析によるそのシミュレーションを試みている. 微小部X線応力測定装置による丸溝試験片に対する応力測定の結果,所期の精度でボルトに対する残留応力測定を行おうとした場合,残留応力が一定と見なせる範囲は,谷底丸み部を含む±25μm以内の領域であり,直径30μmという極めて小さいコリメータを用いる必要があることがわかった.このような条件での測定を実現するためには,試験片取付具を工夫するとともに,回転装置などの使用によって,結晶粒の平均化を行う必要があり,このことは平成22年度の研究で実施する予定である. 一方,FEM解析によるシミュレーション結果からは,残留応力の大きさ及びその分布形には,モデルの拘束条件(固定端の条件及び接触面の摩擦係数)や負荷・除荷の条件が影響を及ぼすことが明らかとなり,転造過程を二次元平面ひずみモデルでシミュレートするために,円周方向への材料流動が考慮できる軸対称体の弾塑性解析を併用する方法を考案し,現在,その妥当性について検討を続けている.
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