2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ突起界面制御技術による超低摩擦係数SiC薄膜の高密着力化
Project/Area Number |
20560134
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 昌彦 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (70274115)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅田 淳 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60162913)
曙 紘之 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50447215)
|
Keywords | 微細円錐状突起物 / SiC / スパッタ / はく離強度 |
Research Abstract |
スパッタ薄膜は一般に,優れた機械的特性を示すが,基材との密着力が高くないことが問題とされている.薄膜の高密着力を向上させるには,中間層の付与が有効であるが,処理に非常に高いコストを要する.我々はこれまでに,スパッタエッチングを利用して表面に微細突起物を形成可能であることを発見しており,界面に微細突起物を付与すれば,アンカー効果によりはく離強度が向上すると考えられる.そこで本研究では,微細円錐状突起物を利用してスパッタ薄膜のはく離強度を向上させることを試みた. まず,工具鋼基板(JIS: SKH51)表面に種々の寸法の円錐状突起物を高周波電源を用いて発生させたアルゴンプラズマ中でスパッタエッチングすることにより形成させ,出力と突起物形状の関係を調べた.その結果,突起物の高さおよび半径は,エッチング時間,出力,および真空度により制御可能であることを明らかにした. スパッタエッチングにより円錐状突起物を形成させた基板上に,SiCターゲットを取り付けたヘリコンスパッタ装置を用いてアモルファスSiC薄膜を形成し,はく離強度をマイクロエッジインデント法により評価した,その結果,はく離強度は,膜厚に比べて小さく,ばらつきの小さな突起物を形成させると,鏡面仕上げした基板上に形成した場合より向上することがわかった,また,はく離強度は,圧子押込み位置に依存することも明らかにした.しかしながら,膜厚に比べ大きな突起を形成させると,はく離強度はかえって減少することが明らかになった.
|