Research Abstract |
本研究は,個々の部品に対応するネットワークエージェントとRFIDを組み合わせた部品エージェントを開発し,部品の再利用と循環を促進するしくみを提案,構築することを目的としている.本年度の実施計画に従って研究を行い,以下の成果を得た. 1.部品エージェントの実装技術の開発ライフサイクルシミュレータと組み合わせて,部品エージェントの実装のための試験環境を開発した.実装にあたっては,本補助金で購入したRFIDタグシステムを使用した,多数の部品と部品エージェントの時間,空間的に広大なライフサイクル上の振舞はライフサイクルシミュレータで模擬し,対象とする部品と部品エージェントのみを数台のコンピュータから構成されるネットワーク上に実装することで,部品エージェントの試験と開発を行うことができる. 2.部品エージェントに基づく部品のライフサイクルシミュレーション部品個々の挙動をそのライフサイクルにわたり扱うことのできるシミュレータを開発し,パソコンを対象に,主要4部品の実際の環境負荷とコストに基づいて,ライフサイクルシミュレーションを行った,部品エージェントにコスト重視,環境負荷重視などのユーザの保全に関する選好に応じて部品交換を提案させ,選好の影響を調べた。部品リユースを行う場合の方が,リユースをしない場合に比べて環境負荷,コストに対する仕事量の比が大きいものの,すべてのユーザが単一の選好のみの場合はリユース部品が市場から枯渇して効果的なリユースが行われないことがわかった.異なる選好のユーザが混在する場合の方が,単一の選好のみの場合に比べて,ユーザの希望する部品交換が促進され効果的な循環が実現されうることもわかった.いくつか達成されなかった研究項目があるものの,部品エージェントの開発環境が整備され,ライフサイクルシミュレーションにより多様な選好の有効性が確認された.
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