2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小隙間流れを用いる次世代磁気ディスク潤滑技術の構築
Project/Area Number |
20560138
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柳沢 雅広 Waseda University, 生命医療工学研究所, 教授 (20421224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80238823)
杉山 敦史 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (90386631)
吉野 正洋 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (90454107)
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Keywords | ダイアモンドライクカーボン / ラマン散乱分光法 / 磁気ディスク / 潤滑膜 / 分子センサー / パーフロロポリエーテル |
Research Abstract |
次世代高密度記録磁気ディスクにおける潤滑剤の枯渇を防止するために、ディスクハブ内に設けたリザーバからの潤滑剤の流動による潤滑剤供給機構の開発を目指している。今年度は潤滑剤の流動に大きな影響を及ぼす保護膜(ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜)、パーフロロポリエーテル潤滑膜、およびその表面・界面の化学構造に関して、超高感度分子センサーを用いてラマン散乱分光法を主体とした測定および解析を行った。その結果、次世代磁気ディスクに必要なサブナノメートル厚のプラズマCVD・DLC膜は有機物やグラフェンクラスター構造から形成されていることを世界で初めて見いだした。本成果は、応用物理学会での発表に於いて大きな反響を得た。また、1ナノメートル厚の潤滑膜のラマンスペクトルを測定することに成功し、潤滑分子が有する官能基(水酸基、フォスファゼン等)が下地に吸着していることを明らかにした。さらに、DLC膜と潤滑剤を強固に結合するために、紫外線照射をすることが一般に行われているが、これによって潤滑分子のラマンスペクトルが大きく変化することを見いだした。この変化は特に官能基のスペクトルに強く見られ、官能基とDLC膜表面の化学結合が生じていることが示唆される。なお、前期超高感度分子センサーを用いて、DLC膜あるいはハブ表面の表面改質に用いる4オングストローム厚のシスタミン自己集積化単分子膜(SAM)の分子構造測定にも成功した。次に、潤滑剤の流動の計測法について、全反射法によりガラス板で挟んだ潤滑膜の拡散が観察できることを確認した。これらの成果は、潤滑剤の流動の制御および流動解析における重要なデータとなる。
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