2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小隙間流れを用いる次世代磁気ディスク潤滑技術の構築
Project/Area Number |
20560138
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柳沢 雅広 Waseda University, 理工学術院, 研究員 (20421224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80238823)
杉山 敦史 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (90386631)
吉野 正洋 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (90454107)
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Keywords | ダイアモンドライクカーボン / ラマン散乱分光法 / 磁気ディスク / 潤滑膜 / 分子センサ / パーフロロポリエーテル / マイクロTAS |
Research Abstract |
次世代高密度記録磁気ディスクにおける潤滑剤の枯渇を防止するために、ディスクハブ内に設けたリザーバから、ハブとディスク間の微小隙間を通して、ディスク回転による遠心力により潤滑剤を流動させて潤滑剤を供給させる機構の開発を目指している。今年度は、まずプラズモンアンテナ型表面増強ラマン散乱(SERS)センサを用いて、界面と潤滑膜の分子間相互作用の詳細な解析を行った。磁気ディスクの潤滑膜(1ナノメートル厚)のラマンスペクトルは、バルクのスペクトルと比べて極性官能基、特にフォスファゼン環中のフェニル基が固体界面に近づき、逆にフッ素系の疎水性主鎖が表面側に配向していることを明らかにした。また、磁気ディスクの潤滑剤の下地層であるダイアモンドライクカーボン(DLC)保護膜の膜厚方向の組成分布を測定し、潤滑剤界面近傍の組成が、最近の磁気ディスクに対応する5nmレベルの薄膜では、潤滑剤との結合に有利な有機物およびグラファイト状構造を多く含み、下地基板に近いほどより多く含むことを明らかにした。次に、潤滑剤の流れを調べるための流路の設計と製造方法の開発を行い、流路の試作を行ってその動作を確認した。また、実際に流路内でのパーフロロポリエーテル潤滑剤の流動状態をラマン散乱スペクトルにより測定することに成功した。これにより、リザーバ中の潤滑剤の流動特性を潤滑剤の分子構造レベルで測定することが可能になった。また微小隙間における流体の固体界面との相互作用を考慮した流体の流れ方程式を導出し、数値解析により計算できることを確認した。以上の成果により、リザーバからディスクへの潤滑剤の供給量の試算を実験および計算で可能とする基本技術が確立された。
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