2010 Fiscal Year Annual Research Report
微小隙間流れを用いる次世代磁気ディスク潤滑技術の構築
Project/Area Number |
20560138
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柳沢 雅広 早稲田大学, 早稲田大学理工学術院, 研究員 (20421224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80238823)
杉山 敦史 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90386631)
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Keywords | ダイアモンドライクカーボン / ラマン散乱分光法 / 磁気ディスク / 潤滑膜 / 分子センサ / パーフロロポリエーテル / トライボロジ / 表面増強ラマン散乱 |
Research Abstract |
次世代高密度記録磁気ディスクにおける潤滑剤の枯渇を防止するために,ディスクハブ内に設けたリザーバから,ハブとディスク間の微小隙間を通して,ディスク回転による遠心力により潤滑剤を流動させて潤滑剤を供給させる機構の開発を目指している。今年度は,50nm以上の深さの流路を試作して磁気ディスクの潤滑剤(フォスファゼン環修飾パーフロロポリエーテル)の流動を確認すると共に,より微小な隙間を得るために円柱または球面レンズと平面石英基板を接触させ,両者の隙間が連続的に変化する状態において上記潤滑剤の流動を観察することに成功した,その結果隙間がナノスケールになるほど流動が指数関数的に遅くなることを確認した.また隙間における潤滑剤のラマンスペクトルを表面増強ラマン散乱法(SERS)で観察することに成功し,そのピークの解析を分子軌道法(密度汎関数法)により正確に同定した.これによりナノスケールで薄い潤滑膜は基板との分子間相互作用により,厚膜に比べスペクトルが低波数側にシフトすることを見いだし,ナノスケール隙間において流動が急激に遅くなるメカニズムを明らかにした.また潤滑剤の下地保護膜に用いられている2nm以下の膜厚のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜のラマンスペクトル観察に成功し,薄いほどピークが高波数側にシフトすることから結晶構造が膜厚により変化することを見いだした.この結果は,潤滑剤との相互作用が変化することを示唆しており,潤滑剤の流動に与える影響が予想される.以上の成果により,リザーバからディスクへの潤滑剤の供給制御の基本技術が確立された.
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