Research Abstract |
本研究では,スリップ流れが発生する撥水処理面と未処理の面を隣り合わせに配置することにより,せん断流量の不連続性を得て圧力を誘起する,簡易な「スリップスラスト軸受」を提案・検討しており,平成21年度には下記の結果を得た. 1, 流体部から反射される波とキャビティー部からの反射波の,強度と位相を加味して干渉波でのそれらを検討した結果,キャビティーの発生に伴うそれらの関係が,連続流体膜での関係からずれる程度により,キャビテーションの発生状況を定量化できる可能性を確認した. 2, 扇状撥水処理部と未処理部の長さ割合の影響につき,せん断流れの他に,圧力流れによる壁面スリップの影響も考慮して新たに導出した無限幅のスリップ軸受理論により,スリップ領域(撥水処理部)が非スリップより長く,スリップ領域での圧力の勾配が緩やかな条件で,最大負荷を得られる可能性があることを明らかにした. 3, せん断流れに対するスリップを考慮した数値計算により,スパイラル状の撥水・非撥水境界で発生する圧力流れの効果で,溝部を全く持たない完全に平坦な軸受であっても,僅かではあるが,グループ軸受のポンピング作用と同じ効果が得られることが明らかになった. 4, 蒸着により強固な撥水膜を作製し,起動や停止のような過酷な運転状態での潤滑特性と膜の損傷の程度を含め検討することを目的として,別研究費により真空蒸着装置を購入し,目的とする撥水性蒸着膜の形成条件に対する目処を立てた.
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