2010 Fiscal Year Annual Research Report
撥水・超撥水面でのスリップ流れを利用した簡易な軸受構造
Project/Area Number |
20560140
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
竹内 彰敏 高知工科大学, 工学部, 教授 (30206940)
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Keywords | スラスト軸受 / スリップ流れ / 撥水処理 / 超撥水処理 / トライボロジー / 機械要素 |
Research Abstract |
撥水(超撥水)面で発生するスリップ流れを積極的に利用して,その発生が少ない未処理面や僅少な親水面との間でのせん断流量を不連続にさせて圧力を発生する,幾何学的な段差を持たないスラスト軸受構造を検討し,平成22年度には以下の結果を得た. 1. 潤滑剤導入のための溝を全く持たない完全に平坦な本軸受でも,援水領域を,軸受外周での流入角が円の接線に近くなる特殊な長いスパイラル状にすることで,一般軸受のスパイラル形状に比べて効率的に軸受内周への圧力流れを誘起し,僅かではあるが,グループ軸受のポンピング作用と同じ効果が得られることを,有限幅スリップ軸受の数値計算により確認した. 2. スリップ部(撥水処理)と未処理部を交互に設けた試験面を固定側とした場(通過流量が多い)と,逆に回転側とした場合(通過流量が少ない)では,通過流量が多い前者の方が軸受の安定な運転領域が広がることを,実験により確認した. 3. スリップ領域が未処理領域より長く,スリップ領域での圧力の勾配が緩やかな条件で,最大負荷が得られることを,理論ならびに実験により確認した. 4. 未処理部を親水処理により非スリップ化することで,スリップ部とのせん断流量差が増大し,軸受特性が更に改善されることを,実験ならびに理論により確認した. 本課題で得られた結果(20,21,22年度報告書)は,本軸受が,グループ軸受等の幾何的な先すぼまり部を持つ従来軸受の代替品となる可能性を十分に示している.
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