2008 Fiscal Year Annual Research Report
トライボケミカル反応を利用した自動車排気ガス浄化に役立つ低摩擦・低摩耗材料の開発
Project/Area Number |
20560142
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
村上 敬 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (40344098)
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Keywords | トライボロジー / 表面・界面物性 / 材料加工・処理 / エネルギー効率化 / 環境対応 |
Research Abstract |
1997年の京都議定書以来、国内外ではCO2排出量低減が大きな課題となっている。ここで自動車エンジンから取り出される仕事の25〜40%は摩擦によって失われており、自動車エンジン摺動部品の低摩擦化・耐摩耗性改善はCO_2排出量低減に大きく貢献すると考えられる。また最近はバイオエタノールを自動車燃料として用いるケースの増加傾向が見られ、このことからアルコールに対する摺動特性の調査も必須になると予想される。 このことから平成20年度、研究代表者らは最近添加剤を含まない合成潤滑基油潤滑下で鋳鉄、鉄などに比べて非常に低く安定した摩擦係数、かつ低摩耗を示すことを明らかにしているFe_7Mo_6金属間化合物基合金、Mo-Re系合金などについて、エチルアルコール中相手材を変えたときの摩擦・摩耗特性の変化をまず調べた。その結果、Fe_7Mo_6基合金と他の相手材との組み合わせより(摩擦係数0.2以上)、Feディスクと、SiCボールの組み合わせが最も低摩擦(摩擦係数0.15程度)になることを明らかにした。 XPS、EDSなどの分析の結果、FeとSiCの摺動後に形成される摩耗痕上にはFe-Si系の化合物の形成されていることがわかった。従ってこのFe-Si系合金は、低摩耗・低摩擦である可能性が非常に高いと考えられる。ここでFe-Mo系、Fe-V系、Mo-Re系に含まれるMo、V、Reに比べてSiは非常に入手しやすい元素であることから、今後Fe-Si系合金の摺動特性について、集中的に確認していく必要があると言うことができる。
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