2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子気体力学的アプローチによるナノ気体潤滑のメカニズムの解明
Project/Area Number |
20560146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米村 茂 Tohoku University, 流体科学研究所, 准教授 (00282004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (10312662)
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Keywords | トライボロジー / 気体潤滑 / 分子気体力学 / DSMC法 / 流体工学 |
Research Abstract |
ごく最近、ある程度研磨されたダイヤモンド膜を回転円盤上で摺動させ、動摩擦係数0.01以下という低摩擦が得られることが報告された。この低摩擦状態では、相対速度の増加に伴い、両面間の気流によってスライダーが浮上し、ナノスケールの気体潤滑が起こっているものと考えられるが、その揚力発生のメカニズムは解明されていない。本研究では分子気体力学的アプローチによりナノスケールの気体潤滑現象のメカニズムを解明し、新たな気体潤滑システムの提案につなげる。20年度はダイヤモンド膜と金属面間に挟まれたナノスケールの気体流れを2次元で模擬するDSMCシミュレーションコードを構築し、揚力発生現象の再現を試みた。ある程度研磨したダイヤモンド膜表面は溝と平坦部で構成されている。本研究ではまず、この溝を三角形形状で近似して計算を行ったところ、ある程度の摺動速度で、平坦部や溝が比較的長い条件でスライダーを浮上させることができるほど大きな揚力が得られた。また、三角形の溝のほかに、矩形など別の形状の揚力への影響についても調べた。揚力は溝形状に依存し、矩形よりも三角形の場合の方が揚力は大きくなることがわかった。スライダーと対向面の間の流路は溝と平坦部の繰り返しである。溝部入口から出口(平坦部入口)にかけて圧力が増大し、平坦部入口から出口(溝部入口)にかけて圧力が減少するが、平坦部で圧力が高いまま維持され、出口付近で急激に低下することによって、つまり上に凸な圧力分布によって平均的に上向きの力(揚力)が得られることがわかった。これらの結果を希薄気体に関する国際会議RGD26などで発表したところ大きな反響を得た。
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