2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子気体力学的アプローチによるナノ気体潤滑のメカニズムの解明
Project/Area Number |
20560146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米村 茂 Tohoku University, 流体科学研究所, 准教授 (00282004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (10312662)
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Keywords | トライボロジー / 気体潤滑 / 分子気体力学 / DSMC法 |
Research Abstract |
部分研磨されたダイヤモンド膜を回転円盤上で摺動させた場合に動摩擦係数0.01以下という低摩擦が報告されている。ここでは、摺動に伴い誘起される両面間の気流によってスライダーが僅かに浮上しナノスケールの気体潤滑が起こっているものと考えられるが、その揚力発生メカニズムは解明されていない。本研究では分子気体力学的アプローチによりこの現象のメカニズムを解明し、新たな気体潤滑システムの提案につなげる。 部分研磨したダイヤモンド膜は平坦部と溝で構成されている。この溝を三角形形状で近似して2次元DSMCシミュレーションを行ったところ、ある程度の摺動速度でスライダーを浮上できる大きな揚力が得られることが、平成20年度までの研究で明らかとなっていた。スライダーと対向面の間の流路は溝と平坦部の繰り返しである。流路が広がる溝入口から出口(平坦部入口)にかけて圧力が増大し、流路が狭まる平坦部入口から出口(溝入口)にかけて圧力が減少するが、平坦部で長い距離にわたって圧力が高いまま維持され、平坦部出口(溝入口)付近でのみ圧力が低下する。平坦部で維持された高い圧力によって揚力が得られる。しかし、溝における圧力発生や平坦部における圧力変化のメカニズムは明らかでなかった。平成21年度には圧力変動を詳細に分析した。その結果、面間距離が分子の平均自由行程より小さい場合には、壁面と気体分子間の衝突頻度が増し、相対的に分子間衝突が不十分となるため、流れに希薄気体効果が現れ、溝の中の分子流れが局所的に希薄化あるいは高密度化し、それが大きな圧力変動を引き起こすことが明らかとなった。また平坦部ではボルツマン方程式に基づいた分子気体潤滑方程式の適用が可能であるため、分子気体潤滑方程式を用いた解析も行ったところ、得られた圧力分布はDSMCシミュレーションの結果と良好に一致した。このことにより本研究の妥当性が確かめられた。
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Research Products
(10 results)