2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子気体力学的アプローチによるナノ気体潤滑のメカニズムの解明
Project/Area Number |
20560146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米村 茂 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (00282004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (10312662)
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Keywords | トライボロジー / 気体潤滑 / 分子気体力学 / DSMC法 |
Research Abstract |
部分研磨ダイヤモンド膜を貼付けたスライダを回転金属円盤上に置き摺動させると、数m/s程度の回転速度で摩擦係数が著しく小さくなることが報告されている。摺動音が発生しなかったことから、気体潤滑の状態にあると考えられる。本研究では、ダイヤモンド膜の物性よりも部分研磨された膜の表面微細構造と微小な流路により圧力が発生したものと考え、そのメカニズムをナノスケール流れの数値シミュレーションにより明らかにする。平成22年度は表面微細構造の影響を詳細に調査した。部分研磨ダイヤモンド膜と対向面の間の流路は溝(表面微細構造)と平坦部の繰り返しである。圧力は流路が広がる部分で最も小さく、狭まる部分で最も高くなり、溝部で得られた高い圧力が平坦部で上に凸な曲線状の分布を描いて、長い距離にわたって維持されるため、結果としてスライダに揚力が発生している。得られる圧力の大きさは溝の形状に大きく依存し、同じ摺動速度に対して数倍~十倍程度の揚力が得られた。両面間の距離を大きくすると、溝部の圧力変動は劇的に縮小し、平坦部での圧力変化も上に凸な分布から直線的な分布に変化し、揚力が消滅した。本研究で取り扱っている気体潤滑は、両摺動面が平行な状態で高い揚力を得ており、ハードディスクの磁気ヘッド周りの流れのようにくさび形に流路を絞ることによって揚力を得る従来の気体潤滑とメカニズムが異なる。また、流路幅が大きくなると揚力が消滅することから、本現象はマイクロ・ナノスケール流れ特有の潤滑現象であると言える。本研究の成果は、アメリカで開催された第27回国際希薄気体力学会やロシアで開催された15th International Conference on Methods of Aerophysical Research(招待講演)などで発表され、大きな反響を得ている。
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Research Products
(14 results)