2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560150
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
瀬田 剛 富山大学, 理工学研究部(工学), 准教授 (50308699)
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Keywords | シミュレーション工学 / 数値流体力学 / 格子ボルツマン法 / 多孔質体 / 自然対流 |
Research Abstract |
多孔質体を構成する粒子や繊維の形状は等方ではなく、孔径も不均一であることから、より一般性の高い多孔質体内熱流動解析の実現を目指し、透過係数および熱伝導率に異方性を有する多孔質体内の熱および流体運動の計算が可能な格子ボルツマン法の開発を目的としました。 異方性多孔質体に対する非線形なフォルクハイマー項を解析できるように、最適化手法を適用することで、ブリンクマン・フォルクハイマーモデルに基づく保存式系を解析できる熱流動格子ボルツマン法を開発しました。正方キャビティー内の自然対流解析において、流速分布、温度分布、ダルシー数およびプラントル数に対するヌセルト数との相関関係について、参照解と良い一致が得られました。本研究期間中に他機関により提案された多緩和時間モデルにより、熱伝導率に対する異方性の導入も可能となりました。 モデルの三次元計算において、従来の手法では辺や角に対する境界条件の精度に問題があり、また、実用的な製品に対する任意形状の境界条件の設定に最適なことから、埋め込み境界法を適用した格子ボルツマン法による自然対流解析について検討しました。同心二重円筒間熱伝導問題の計算を行い、緩和時間の増大による境界近傍で温度分布の歪みが判明し、緩和時間の適切な設定値を明確化しました。同心二重円筒間の自然対流解析における流れ関数分布と温度分布、および、円柱周り自然対流解析における円柱半径と平均ヌセルト数との関係が、参照解と良い一致を示しました。Implicit Correction Methodに基づく埋め込み境界法を熱流動格子ボルツマン法に適用し、境界点数による計算精度への影響を一次精度まで向上させることに成功しました。三次元異方性多孔質体内自然対流解析モデルを構成する技術全てを定量的に評価し、その有効性を示しました。
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