Research Abstract |
風洞装置の改造は計画通り完了した。測定部断面は400mm×200mm,測定部全長は2.5m,滑面測定平板は1.5m長×400mm幅,ゼロ圧力勾配下の運動量厚さレイノルズ数は1500〜4000,層外主流乱れ強さは0.3%である。プローブ移動装置としては最高並進速度1.5m/sのリニアモータ駆動のものを用意し,これに単線型熱線プローブを取り付け,フライングワイヤ法による測定準備を行った。本年度は試行的に境界層内スパン方向への測定を行い,壁からの高さを変化させた場合(0.05〜1.2δ)のスパン方向乱流組織構造に関する考察を行った。また測定プローブの開発については,おもにパルスドワイヤ法に関する開発を進め,現有の低速風洞を用いた特性試験に着手しているところである。 角部はく離流および二次元後方ステップ再付着域の流れに関しては,現在,流れ方向圧力勾配の取り扱いを検討中である。すなわち,角部あるいは後方ステップ設置位置の前後における圧力の急激な変化は不可避であり,流れのはく離・再付着現象への影響量を把握しておく必要がある。斜め後方ステップの場合にはさらにスパン方向への圧力勾配も重畳し,問題はより複雑化するため,汎用CFDコードを併用し,測定部の調整作業を進めている。一方,はく離流れの直感的理解を実験的に進める方法として,スモークワイヤ法による可視化観察実験を適用することとし,はく離前の流れを対象とした予備的実験を完了した。今後は,現有の高速度ビデオカメラとArイオンレーザを用いたPIV測定法の適用を検討する。 数値シミュレーションについて,単独PC機を用いた計算コードの開発は終了しており,一方,Linux+Scoreによる自作PC機8台のクラスタ化は完了し,現在,並列計算スキームの高速化を進めている。また,既存のDNSデータベースを用いたデータ解析法の開発にも着手しており,チャンネル乱流中に存在する組織構造の解析を進めている。さらに,データベース中でフライングワイヤ法の実験を模擬し,取得された時空間データから組織構造を抽出する方法の開発に着手している。
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