Research Abstract |
回転円板周りの流れは,多くの流体機械にも見られ,その解明は,工学的に重要である.本研究では,流体機械のモデルとして,円柱容器内で回転する円板周りの流れに注目して,その発達過程を調べた. この流れでは,従来の回転による横流れのみならず.円板の厚さを考慮した,円板縁と外側円柱容器間の半径方向隙間の存在が,流れ全体に大きな影響を与える.特に今年度は,軸方向の隙間が小さく,半径方向には広い隙間を持つ場合の流れを,数値的に調べた. 半径方向の隙間には,テイラー渦状の流れがもたらされる.軸方向隙間が狭い場合には,この流れが作る撹乱が,円柱容器端面上を移動することなく,円板の縁周辺に取り残される.この撹乱は,縁周りに,小さな渦からなる,ビーズ渦を形成する. ビーズ渦は,比較的高レイノルズ数において現れる.それに対して,低レイノルズ数では,一旦はビーズ渦が生成されたとしても,各ビーズが融合を始め,円板縁周辺にわたり,5から8個の大きな渦に融合するシナリオが存在することを見出した.この融合した渦流れは,軸方向から眺めると鎌状をしていることより,シックル渦と命名した. ビーズ渦の発生時は,円板に働く変動は少ない.一方で,シックル渦の発生する場合は,円板に大きな変動が働く.これは,想定している流体機械の運転状態の悪化の要因の一つになる.シックル渦で流れ場が変動する原因には,シックル渦による流れの対称性の崩壊が,強く影響していることを見出した.
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