Research Abstract |
拡散係数が動粘性係数より大きい場合の濃度の乱流混合機構を実験的に解明するために,平成22年度は(1)ラインスキャンカメラによる高時間高空間分解の濃度測定,(2)エリアスキャンカメラによる濃度速度同時測定を計画し,以下のような結果を得た.(1)検証実験として,円形噴流乱流混合場を作り,他研究者と結果と比較をし,良好な一致を得,ラインスキャンカメラによる多点(2000点)同時測定による瞬時の空間濃度分布の測定が可能となった.(2)エリアスキャンによる濃度同時測定でも,他の研究者の結果と比較し,良好な一致を得た.カメラの性能により,噴流中心部の高速領域の測定ができなかったが,濃度の積分時間より,平均速度を推定可能である.(3)エリアスキャンカメラによる濃度同時測定は,励起光(レーザ)と誘起蛍光の波長の違いを利用し,一台のカラー画像素子から緑信号から速度情報を,赤信号から濃度情報を取り出すものである.その際に,速度測定用トレーサが誘起蛍光を利用した濃度測定に影響を及ぼす.この対処として,まず,速度測定用トレーサの像を除外し,残りの領域の赤信号の画像で濃度測定を行なった.検証実験の噴流のように,乱流スカラー流束が大きい場合は,測定結果に大きな差異は見られなかったが,振動格子で生成した一定濃度勾配下の乱流では,濃度勾配が噴流の場合に比べて撮像信号が強くないため,定性的にも正しく乱流スカラー流束を測定することができなかった.この問題を解決するために,速度用の緑の画像信号と濃度用の赤の画像信号の相関を調査すると,良好な相関が得られ,濃度速度同時測定の際の,濃度測定の精度を向上させた.速度測定の分解能については,後処理を工夫することにより,2倍に向上した.これらについては,平成23年度に開催される国内の会議で口頭発表および学会誌に公表する予定である.
|