Research Abstract |
交付申請書に記載した様に,本年度は,剛体を用いた渦発生器に関する実験を併せて行なって,柔軟体を用いた本渦発生器と混合性能の比較検討した後,最終年度として研究結果の総括を行なった. まず混合の実験では,同形状・同寸法の柔軟体(ゴム板)と剛体(金属板)を製作し,これらを流れ中で,側壁において両端支持した細棒の下流に(上流を支持して)設置した.また,支持棒上流にL字の細管を配置し,パイプ下流端から流れに水噴射を行なった.なお噴射流量は一定とした.そして流れの様子を高速度カメラで撮影すると,噴射した水は白い霧状の画像として記録される.この白い領域の面積を画像解析によって算出し,その面積の大きさを混合性能の指標として採用した. その結果,柔軟体がフラッタを生じている時は,剛体の場合に比べて,明らかな面積拡大が観察され,フラッタが混合を促進している事が示され,本申請のアイデアの有効性が立証された.一方,柔軟体の周囲に水の霧が存在する事で,フラッタ限界が少し上昇し,フラッタを生じ難くなると共に,振動振幅もわずかに小さくなる事が観測された.これは,液体燃料の噴射に対して柔軟体渦発生装置を適用する際の注意点と言える. 総括として,本研究では,上流支持の柔軟体渦発生器を対象として,そのフラッタ特性(フラッタ限界,振動数,モード,振幅)および混合特性に関して,実験,数値シミュレーションを行なった.そして実験ではフラッタ特性,混合特性を,数値シミュレーションでは流れ場の様子を明らかにした.また柔軟体渦発生器の混合促進装置としての有効性を示すことが出来た.本研究の結果は,柔軟体渦発生器の研究開発の基礎的データベースとして,あるいは他の混合促進装置の比較対照として活用可能である.
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