2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチャンネルにおける分子気体効果を用いた温度差再利用法の開発
Project/Area Number |
20560158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉元 宏 京都大学, 工学研究科, 講師 (50222055)
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Keywords | 流体 / マイクロ・ナノデバイス / 気体分離 / 分子気体力学 / 熱遷移 / 希薄流 / クヌッセン・ポンプ / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
【1】 加熱および非加熱の網ペアを駆動力とするポンプの試作 前年度に引き続いて、複合網を用いた熱駆動ポンプの試作研究を進めた。この複合網とは、メッシュサイズが異なる多数の網を重ねたものである。2μmの焼結金属網を用いた装置では、10Paから1万Pa(0.1気圧)に至る広い範囲の圧力において、網の表裏の温度差が網を通り抜ける気体流を誘起することが確認できた。この装置は、温度差をエネルギー源とするポンプでもあるが、下記【2】の気体分離装置の中心的部品としても利用できる。 【2】 熱駆動流を利用した気体分離装置の考案 材料気体が流れている2本の流路を、熱駆動ポンプやマイクロチャンネル(多孔膜)で連結した形の気体分離装置を考案した。前年度の解析では、マイクロチャンネルの気体分離効果を、2本の流路出口における濃度差として取り出せることを確認した。本年度の解析では、流路構成の工夫により、マイクロチャンネルの気体分離効果を拡大して取り出せることが示された。つまり、単一のマイクロチャンネルで得られる濃度差が小さくても、装置構成の工夫によって、材料気体と生成気体の間で100%近い濃度差が実現できるのである。残念ながら、気体分離装置の試作には至らなかったが、本研究の解析結果は、マイクロマシンとも言えるサイズで大流量を持つ、革新的な気体分離装置が実現できることを示している。 【3】 気体分離効果に対する多原子分子効果の研究 多原子分子の混合分子気体に対するボルツマン方程式に基づいて、熱駆動デバイス内部の多原子分子気体の挙動を数値解析し、前年度に実施した気体分離実験の結果と比較検討を行った。両者の結果には特徴が異なる点も見られるため、さらに研究を進める必要がある。
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