2011 Fiscal Year Annual Research Report
気泡(マイクロバブル)を含む2次元・3次元後流中の渦構造とカオス・乱流遷移
Project/Area Number |
20560161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柳瀬 眞一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20135958)
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Keywords | 円柱後流 / カルマン渦列 / 安定性 / ポアンカレ断面 / マイクロバブル / 抵抗低減 |
Research Abstract |
今年度の研究方向は主に3つの方向を目指した.一つは,円管内流の層流・乱流遷移に対するマイクロバブルの影響を詳しく調べること,もう一つはマイクロチャンネルにおける混合促進において,マイクロバブルの果たす役割を追求すること,最後は,マイクロバブル流後流の乱流遷移の研究である. 最初の問題に関しては,この問題がそれ程容易に解決できるテーマでないことがより明確となった.その理由は円管内流の遷移は流入条件に強く依存し,そのためにマイクロバブルを注入する方法に極めて敏感に影響される点にある.その主な結果は2011年8月の学会発表で公表しているが,これまでに信じられていたようにマイクロバブルが単純に乱流遷移を遅らせるばかりではなく,条件次第では乱流遷移を促進させる場合も有りうるということで,結果は極めて複雑である.また,円管内単相流体の乱流自体も今日も未解決の問題を多く含む複雑な研究対象であるため,マイクロバブルの影響は極めて慎重な実験が要求されることが分かり,ブレイクスルーには一層の研究努力が必要であることが最終結論である. 二番目の問題については,曲がり管内流では極めて低いレイノルズ数(10以下)においても壁面条件を工夫することによって流れがカオス化,あるいは弱い乱流状態となり混合が促進されることが実験的に確かめられた.この結果は2011年7月の国際会議で発表された.この流れに対するマイクロバブルの影響の研究は今後の主要テーマである.最後に,後流の解析は極めて困難で,実際,2011年度末にようやく3次元後流の周期解を半解析的に求めることが成功した.この結果は2012年度の日本流体力学会で発表する予定であるが,これは世界で初めて得られた貴重な成果である.しかし,この流れに対するマイクロバブルの影響を調べることはさらに困難であり,この研究も今後の主要なテーマである.
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