2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチャネルスラグ流の薄液膜挙動に関する実験的研究
Project/Area Number |
20560179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿園 直毅 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30345087)
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Keywords | マイクロ管 / スラグ流 / 液膜厚さ / レーザー共焦点法 / キャピラリ数 / レイノルズ数 / 加速度 / 界面曲率 |
Research Abstract |
スラグ流は細管径内を気泡と液スラグが交互に規則的に流れる流動様式である.スラグ流の特徴として,液スラグの中での循環による混合促進と,気泡と管壁の間に形成される薄液膜を介した熱物質輸送が挙げられる.この薄液膜の厚さは液スラグ中での循環や熱物質伝達率を決める上で非常に重要なパラメータである.従来からマイクロ管内の液膜厚さを測定するための研究が行われてきてはいたが,数ミクロンオーダーの薄い液膜厚さを鞍良く測定するのは非常に難しく,信頼できる実験データが今まで得られてなかった.本研究では,マイクロ管内の二相流でも最も重要なパラメータの一つである薄液膜厚さを,レーザー共焦点法を用いて世界で初めて高精度に測定することに成功した.スラグ流での気泡は気泡キャップ、遷移領域、薄液膜領域の三つの領域に分けられ,液膜厚さは遷移領域での力学的なバランスによって決定される.キャピラリ数は粘性力と表面張力の比を現す無次元数であり,既存の研究では液膜厚さはキャピラリ数の関数として整理される.本研究の結果から,キャピラリ数だけでなくレイノルズ数によって液膜厚さが大きく変化することが観察された.小さいキャピラリ数では慣性力が無視でき,液膜厚さはキャピラリ数だけで決まるが,キャピラリ数が大きい場合の液膜厚さはレイノルズ数の増加とともに極小値をとった後に徐々に増加し,レイノルズ数が2000を超えると乱流へ遷移し一定値をとる.また,矩形管においても角部と平滑部での液膜厚さを初めて測定し,円管の場合と同様なレイノルズ数依存性を確認した。一方,加速時の液膜厚さも測定を行い,気泡の加速によって液膜が非常に薄くなることを観察した.液スラグ中の速度分布が変化することで,遷移領域の界面曲率が影響を受けたためと考えられる.得られたデータを用いて定常状態と加速時を含む液膜厚さに対する新しい相関式を提案した.
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