2009 Fiscal Year Annual Research Report
凍結による生体組織レベルの細胞膜損傷の評価と保湿剤による損傷低減効果
Project/Area Number |
20560197
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
氏平 政伸 Kitasato University, 医療衛生学部, 准教授 (70286392)
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Keywords | 生体組織の凍結保存 / 単層培養細胞 / 細胞の配向制御 / ヒト皮膚繊維芽細胞 / ヒアルロン酸ナトリウム / 凍結方向 |
Research Abstract |
組織レベルの試料において一部でしか凍結保存が確立されていない要因の1つとして,懸濁細胞と組織の構造的違い,即ち,細胞密度の増加に伴う細胞同士の接触機会の増加が挙げられる.しかし,これが凍結解凍後の細胞生存に及ぼす影響とメカニズムについては不明である.また仮に,細胞密度の増加が細胞外の氷晶形成時に細胞膜損傷の増大を引き起こすならば,ヒアルロン酸等の保湿剤を添加することで細胞間隙や膜近傍における水和を促進し細胞膜損傷を低減できる可能性がある.本研究では,生体組織を模し得る試料として配向と細胞密度を制御した単層培養細胞を用いて凍結保存し解凍後に生存状態の2次元分布を蛍光染色画像の解析により明らかにし,細胞膜損傷の有無と生存の関連性について調べ,そして,ヒアルロン酸の添加による膜損傷の程度の違いと生存率を評価することを目的とする.本年度は,昨年と同様に配向制御された単層培養細胞を凍結し,解凍後に蛍光画像による生存分布の観測と生存率の局所的測定と全体的測定を行った.それと並行し,凍結保護物質としてヒアルロン酸を用いた場合の生存率改善効果と蛍光標識ヒアルロン酸の細胞への取り込みを調べた.その結果,非配向単層培養細胞では細胞密集により生存率が局所的に低くなったが,高密度の場合に配向細胞の方が非配向細胞と比べ全体的な生存率が高くなった.更に,ヒアルロン酸の細胞内における損傷低減効果が明らかとなった.また,蛍光ヒアルロン酸の細胞への取り込みが観察されたことから,保護作用に貪食が関与していることが示唆された.
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Research Products
(5 results)