2010 Fiscal Year Annual Research Report
凍結による生体組織レベルの細胞膜損傷の評価と保湿剤による損傷低減効果
Project/Area Number |
20560197
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
氏平 政伸 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70286392)
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Keywords | 生体組織の凍結保存 / 単層培養細胞 / ヒアルロン酸 / 凍結保護効果 |
Research Abstract |
組織レベルの試料において一部でしか凍結保存が確立されていない要因の1つとして,懸濁細胞と組織の構造的違い,即ち,細胞密度の増加に伴う細胞同士の接触機会の増加が挙げられる.しかし,これが凍結解凍後の細胞生存に及ぼす影響とメカニズムについては不明である.また仮に,細胞密度の増加が細胞外の氷晶形成時に細胞膜損傷の増大を引き起こすならば,ヒアルロン酸等の保湿剤を添加することで細胞間隙や膜近傍における水和を促進し細胞膜損傷を低減できる可能性がある.本研究では,生体組織を模し得る試料として配向と細胞密度を制御した単層培養細胞を用いて凍結保存し解凍後に生存状態の2次元分布を蛍光染色画像の解析により明らかにし,細胞膜損傷の有無と生存の関連性について調べ,そして,ヒアルロン酸の添加による膜損傷の程度の違いと生存率を評価することを目的とする.本年度は,凍結保護物質(ジメチルスルホキシド)にヒアルロン酸を添加した場合の高密度単層培養細胞の凍結解凍後における生存率と膜損傷の程度の違いを評価するため,解凍後における蛍光画像による細胞生存率と細胞残存率の測定を行った.その結果,ヒアルロン酸を添加した場合の方が添加しない場合よりも凍結解凍後の生存率が高くなった.しかも,細胞の凍結解凍による剥がれや脱落を示す細胞残存率も同様の結果となった.このことから,ヒアルロン酸を添加することで高細胞密度の場合の細胞膜の損傷と細胞内凍結による損傷が低減されることが明らかとなった.よって,ヒアルロン酸の水和作用を利用することで,細胞密度の高い組織レベルの試料において,細胞外の氷晶形成から細胞膜を守り,細胞内では氷晶が形成されにくくなることで,凍結保存における生存率の改善が期待される.
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Research Products
(4 results)