Research Abstract |
本研究では,太陽電池ジュールの配向を,植物のシュートモデルを模擬して分散配置することで,ソーラー発電システムの効率改善と設置スペースのコンパクト化を試みるものである。研究の目的は,数値シミュレーションにより植物シュートの特徴をソーラー発電システムに取り入れて,設置スペースのコンパクト化,太陽電池モジュールの向きと太陽の位置による発電効率の指向性の緩和,そして太陽電池モジュールの温度上昇の抑制を実現することである。そこで,(1)多種の植物シュート形態を数値解析により最適化して,任意時刻での日射の受光に有効である太陽電池モジュールの分散配置について計画し,(2)これらは平板の平板タイプの太陽電池モジュールと比べて省スペースであることを明らかにし,(3)植物の葉で行われている,「主脈の折り曲げ」や「葉密度の偏分布」などの温度上昇を抑える工夫を模擬して,太陽電池モジュールの温度上昇が抑制されることを検討した。本研究の学術的な特色は,植物シュートと日射の受光量の関係を明らかにする点であり,多様な葉形状のふく射形態係数をモンテカルロ法で解析して,さらに,非線形で多変数である植物シュートの最適化には,遺伝的アルゴリズムを導入した。数値実験の結果から,分裂葉を持つ植物シュートの受光面は,平板タイプの太陽電池モジュールに比べて設置スペースは大きく削減できることを明らかとした。この大きな理由は,太陽位置に影響を受けにくい,指向性の小さな受光面の配置を計画できるからである。
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