2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流路内を自励駆動する感温磁性流体の可視化と熱輸送特性に関する研究
Project/Area Number |
20560205
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
麓 耕二 Kushiro National College of Technology, 機械工学科, 准教授 (50259785)
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Keywords | 熱輸送ディバイス / 感温磁性流体 / 自励駆動 / 平均熱伝達 / マイクロ流路 |
Research Abstract |
研究初年度である平成20年度は,当初の研究実施計画通り,磁性流体の流動様相および伝熱特性に関する実験的検討を行った.研究過程としては,まず加熱部近傍の流動様相の可視化ならびに磁力付与近傍における伝熱特性を把握するため,新たな装置を製作した.その後,各種パラメータを制御した実験を行った.実験パラメータとして流動特性および伝熱特性に及ぼす温度差,磁力強さ,および磁場供給位置の影響について集中的に検討を行った.結果として,以下の2つの成果を得ることができた.(1)マイクロ流路内の感温磁性流体は,温度差に基づく磁化の非平衡を起因として,特異な流速分布を示すことが分かった.具体的には,一般的な管内におけるニュートン流体による速度分布と異なり,管壁近傍の速度が流路中央部より大きな値を示すとともに,流路内の速度分布に基づく旋回流が形成されることが分かった.(2)上記に示す特異な速度分布による影響として,加熱部近傍における平均熱伝達率が従来のマイクロ型熱輸送装置に比べて高いことが分かった.具体的には,相変化を利用しない液単相流による流路壁振動を利用した場合に比べ,本装置のヌセルト数(熱伝達率に関する無次元数)が高くなることが分かった.また本装置がポンプを使用しない自励駆動を採用していることから,他のポンプを使用する単相流を利用するマイクロ熱輸送ディバイスに比べて大きな優位性を有していることも明らかになった.さらに本研究が対象としている感温磁性流体を利用した熱輸送マイクロディバイスは,作動温度が室温に近く,現在電子機器の冷却用ディバイスとして利用されているヒートパイプに比べて,極端に低いことを考慮すると,冷却装置として大きなアドバンテージを有していることが分かった.
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