2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然対流が発生する二成分気体系安定密度成層内の分子拡散挙動の研究
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20560207
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
武田 哲明 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30370422)
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Keywords | 分子拡散 / 自然対流 / 自然循環流 / 二成分気体 / 鉛直流体層 |
Research Abstract |
今年度は研究の最終年度として、逆U字型の一方の流路内に局所的な自然対流が発生する鉛直流体層内への密度の異なる気体の浸入過程を調べる実験を行い、分子拡散による気体混合過程に及ぼす自然対流の影響を調べるとともに、最終的に発生する一次元的な自然循環流について調べた。また、一次元的な自然循環流が発生しない条件における分子拡散による成分気体の移動に与える自然対流の影響を調べた。 まず、一次元的な自然循環流が発生しない場合における密度の異なる成分気体の分子拡散による移動現象に及ぼす局所的な自然対流の影響は、自然対流が発生している箇所と発生していない箇所が同時に存在する場合には成分気体の移動速度が大きく異なり、流路内の気体密度の非定常変化を求める際には、流路内各所の温度分布及び温度変化を正確に評価しなければ密度変化を予測できないことが分かった。 次に自然循環流の発生を許す、逆U字型流路における実験では、二成分気体の組み合わせ、局所的に発生する自然対流の強さによって一次元的な自然循環流の発生時間が大きく変化することが分かった。具体的には、密度差の大きいヘリウムノアルゴン系の気体混合は自然対流の影響を大きく受けるが、窒素/アルゴンの場合はさらに大きな影響を受け、これは、初期段階において既に比較的強い自然対流が発生しているかどうかにも依存していることが分かった。 さらに、密度差の大きい場合の実験では、温度差の大小に伴う居所的な自然対流の強さが一次元的な自然循環流の発生にも影響を与えることから、このような密度の異なる成分気体の浸入挙動が関係する可燃性気体貯蔵装置内への空気浸入あるいは高温ガス炉の配管破断事故時の空気浸入挙動を予測する際には、各構造物の温度分布や温度変化が分子拡散と自然対流あるいは自然循環流による気体浸入過程に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
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