Research Abstract |
昨年度の研究で,カーブ半径の小さな道路においてレーダーによる検知範囲が車線をそれ,先行車の検出遅れが生じる事を示した.また,CMB(衝突被害軽減ブレーキ)による衝突速度低減量は,衝突直前の車両挙動に影響を受けると思われ,事故データを調べたところ,衝突直前に先行車が急ブレーキをかけているケースが多かった.そこで,本年度は,カーブ路における先行車検出遅れ対策と,追走中に先行車が急ブレーキをかけた場合の追突シミュレーションを行った.追走する2車両の車両間隔を表す指標として,2車両の車間距離を車両速度で除した車間時間を用いた.一般には2秒程度の車間時間が推奨されているが,現実にはより短い車間時間での走行も少なくないものと思われるため,車間時間の値を変えてCMBの効果におよぼす影響を調べた. シミュレーションには昨年度に構築したCMBモデルを組み込んだ車両モデルを使用した. カーブ半径が小さくなると,レーダー照射範囲が車線外側にそれるため,車両のハンドル角からカーブ半径を推定し,レーダーの照射方向をカーブ内側に補正した.これにより先行車の検出遅れを解消する事ができ,カーブ半径が小さい場合でも,カーブ半径が大きい場合と同等の衝突速度低減効果が得られる事が分かった. 2車両が一定曲率のカーブ路を一定の車間時間で追走中に,先行車が減速度0.5Gで制動した場合の衝突シミュレーションを行った.その結果,車間時間が短くなると衝突までの時間が短くなるため,車間時間2.0s程度を境にCMBによる衝突速度低減量が減少する事が分かった.一方,車間時間を2秒以上とってもCMBによる衝突速度低減量は増加せず,一般に推奨されている車間時間(2秒程度)はCMBの作動基準としても妥当な値であると考えられる.
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