Research Abstract |
平成20年度は,多自由度振動系を自励発振させるのに適した制御方式の開発を行うとともに,1自由度振動系および4自由度振動系において,シミュレーションと実験による検証を行った。 固有振動数が変化しても,常に固有振動数で自励発振させるために,広い周波数範囲で位相が90°遅れるコントローラを用いた。1自由度振動系に対しては,変位の位相遅れ制御と速度正帰還制御のどちらでも同等の共振点追尾性能が得られる。しかし,それぞれ低周波域でハイゲイン,あるいは高周波域でハイゲインとなるため,多自由度振動系に対しては,それぞれを単独で用いると最低次あるいは最高次の振動モードが励起されやすく,所望の振動モードで発振させることが難しくなる。そこで,変位の位相遅れ制御と速度正帰還制御を足し合わせて,位相遅れが90°で,かつ,なるべく平坦なゲイン特性が得られるような自励発振コントローラを作成した。 また,自励振動の振幅を有限に抑え,定常振動(リミットサイクル)にするために,飽和要素を用いた。飽和要素は,入力の大きさに応じて入出力のゲインが変化する(可変ゲイン)。自励振動が成長し振幅が大きくなると,徐徐に飽和要素の入出力ゲインが低下して,定常振動状態に落ち着く。 制御対象となる振動系の減衰が小さい場合には,小さな加振力でも大きな振動になる。また,減衰の変動に応じて振幅が大きく変化する。そこで,速度負帰還によるアクティブ制振要素を設けて,見かけの減衰を大きくした。 上記のように局所制御された自励振動アクチュエータを用いて,多自由度振動系を常に固有振動数付近で効率よく加振できるかどうかを検討した。シミュレーションおよび実験とも,すべての振動モードの共振点で駆動でき,所望の振動モードに切り替えられることがわかった。
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