2009 Fiscal Year Annual Research Report
エアターンバーで支持されたウェブの自励振動発生メカニズム解明と制振デバイスの開発
Project/Area Number |
20560225
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 昌宏 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 准教授 (40256673)
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Keywords | ウェブ / 自励振動 / 流れ励起振動 / 流体構造連成 / ターンバー |
Research Abstract |
振動特性実験により得られた知見を基に,エアターンバーで支持された柔軟ウェブに発生する自励振動の理論モデルを構築した.これまでの実験により,柔軟ウェブには,音を伴ってウェブの面外方向に高い振動数で振動する自励振動(高振動数モード)と,ウェブ送り方向にスライドする運動を伴って低振動数で振動する自励振動(低振動数モード)の2つのタイプの自励振動が発生することが明らかになっている.このうち,本研究では低振動数モードの自励振動を対象に,理論モデルの構築と安定性解析を行った.理論モデルでは,張力を一定の状態で搬送されるウェブの面外方向の運動を,ウェブの両端に等価バネ質量系を取り付けた機構でモデル化した.ウェブとエアターンバーとの間の狭い隙間を流れる空気流れは,流れが準定常的に変化するとして,圧力勾配と壁面摩擦との釣り合い式より導出した.また,エアターンバー内部では,空気の圧縮性を考慮して,エアターンバーに流入する空気とスリットから流出する空気の連続の方程式を導出した.これらの基礎式に摂動法を適用することで,定常方程式と非定常方程式を求めた.そして,得られた定常方程式を解くことでウェブの浮上量を求めた.また,非定常方程式をラブラス変換した方程式に,ラウス・フルビッツの判定判別法を適用することで,系が不安定となる条件,つまり自励振動が発生する条件式を求めた.得られた不安定条件式を基に,空気の流量と張力をパラメータとした自励振動発生条件(不安定領域)を明らかにした。そして,実験において自励振動が発生した条件と理論解析結果が定性的・定量的に一致していることを確認した.さらに,構築した理論モデルを基に励振メカニズムを考察し,エアターンバー内部における空気の圧縮性に起因して,ウェブに作用する空気の圧力変動がウェブの振動変位に対して位相進みとなるために,自励振動が発生することを明らかにした.
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