Research Abstract |
宇宙構造物や分子系などの大規模マルチボディシステムの定式化と解析には,ダイアコプティスと呼ばれる切断と内部接続の操作が有効である.特に,システムの内部接続構造はディラック構造でモデル化できることが分かっており,昨年度までに,非ホロノミック拘束から誘導される余接バンドル上のディラック構造について考察し,それに付随する陰的なラグランジュ系を開発してきた.2010年度は,この考えに基づき,2つの異なるディラック構造が与えられた場合,それら2つのディラック構造の内部接続(interconnection)を行うことを考えた.まず,切断操作によって生じる拘束条件から内部接続のディラック構造を定義し,2つの異なるディラック構造の直和を考える,さらに,Bowtie直積と呼ばれる写像を定義して,2つのディラック構造の直和と内部接続のディラック構造のBontie直積を取ることにより,内部接続が数学的に可能であることを示した.これにより,複雑な力学系の内部接続が可能になり,退化した拘束ラグランジュ系である回路系や非ホロノミックな力学系などをメカニカルネットワークとして捉えることができるようになった.次に,安定な解析方法として,変分法に基づく離散化を行い,ホロノミック拘束を受けるマルチボディシステムの数値積分法を提案した.この方法は,幾何学的な拘束安定と変分的な積分法を融合した方法であり,従来のBDF法に基づくスパースタブロー法よりも数値的に安定である事を数値実験により示した.
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