Research Abstract |
本年度は,変圧器タップ切り替えによる電圧制御機器であるLRTとSVRの最適制御パラメータの同時決定手法を開発した。開発するLRTとSVRの制御パラメータの同時決定手法では,LRTの4つの制御パラメータ(IMIN,VMIN,IMAX,VMAX),SVRの2つの制御パラメータ(ZREF,VREF),LRTとSVRの各不感帯幅(εLRT,εSVR)を状態変数として設定し,最適化手法であるPSOを用いて状態変数の最適化を行う。タップ切替回数と電圧余裕を目的関数として定義することで,LRTとSVRの制御パラメータと不感帯幅を同時に決定することが可能である。開発手法の妥当性を検証し,手法の計算ロジックを確立するために,LRTとSVRが設置された太陽光発電システム連系配電系統モデルを計算機内に構築し,その配電系統モデル上で,膨大な計算機シミュレーションを実施した。LRTとSVRの最適制御パラメータを決定する手法は,鳥や魚などの生物の群れがえさを探す振舞いを模擬した先進的非線形最適化手法であるPSOに基づいており,これまで軽験的知識や試行錯誤で決定していた制御パラメータをシステマティックに決定することが可能である。 LRTとSVRの最適制御パラメータの同時決定手法を計算機シミュレーションにより開発した後は,分散型電源模擬装置が連系されたフリーデザイン配電系統模擬実験設備において,分散型電源により急峻な電圧変動が起こって適正電圧範囲を逸脱した状態を再現し,これに,先進最適化理論にもとづく制御パラメータの最適化技術を実装したLRTとSVRを設置・動作させる実験を行った。制御パラメータの最適化の効果を様々な実験を通して検証しながら,制御パラメータの最適化技術を確立させた。得られた実験による制御結果は,随時,計算機シミュレーションと比較し,評価を行い,その妥当性を検証した。
|