2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20560273
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮内 肇 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20181977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 哲也 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10190620)
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Keywords | 規制緩和 / 電力市場 / ガス火力発電 / リスク / 事業価値評価 / 効用無差別価格 / 期待効用理論 / プロビットモデル |
Research Abstract |
電力市場価格の時系列解析により、これまで本研究で用いてきた平均回帰モデルで電力市場価格を表すことが妥当なことは既に検証している。また、米国内の天然ガスのスポット取引価格を元に天然ガス価格の平均回帰モデルを作成し、提案している効用無差別価格を用いた事業価値評価手法(UNPV法)を用いて、ガス火力発電事業の事業価値評価を行った。電力市場価格モデルと天然ガス価格モデルのパラメータを変動させてさまざまなシナリオを作り、UNPV法によるガス火力発電事業の事業価値評価を行い、UNPV法によってリスクを回避しようとする事業者の選好度が正しく評価されていることから、本手法による事業価値評価の妥当性を示している。 また、UNPV法で用いる効用関数はパラメータ同定が難しいことから、事業者のリスクに対する考え方を含んだ事業価値の評価手法として、昨年度新たにプロビットモデルを提案した。これは、事業の実行・非実行を表す二値関数を被説明変数に、また、さまざまなシナリオによって得られる正味現在価値(NPV)の平均と分散を説明変数とする回帰式である。本年度は、さまざまなシナリオ下のガス火力発電事業に対するUNPV法による評価結果を用いて、プロビットモデルの妥当性を検証した。その結果、事業の実行・非実行はほぼUNPV法とプロビットモデルの両者で一致し、各説明変数も有意であることを確認した。さらに、市場価格が価格スパイクなどで大きく変動し、さまざまなシナリオを通して得られるNPVの分布が正規分布とは大きく異なるような場合に対して、プロビットモデルの説明変数としてNPVの平均と分散に加えて3次・4次の項を用いる、高次のプロビットモデルを提案している。市場価格が価格スパイクを含むような場合でも、高次のプロビットモデルを用いると、事業価値評価の結果がUNPV法とより一致し、提案する高次のプロビットモデルは有効であることを示した。
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Research Products
(4 results)