2010 Fiscal Year Annual Research Report
電気機器省エネルギー設計への応用へ向けた高速高精度電磁界数値解析技術の実用化研究
Project/Area Number |
20560280
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若尾 真治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70257210)
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Keywords | 電磁界解析 / 電気機器設計 / 有限要素法 / 積層鉄心 / 無限辺要素 |
Research Abstract |
近年、環境エネルギー問題への配慮から、電気機器設計分野においては損失低減による高効率化が強く要望されており、その実現のためには積層鉄心等の部材を用いた機器の高精度な電磁界解析が必要となる。積層鉄心の微細構造の詳細なモデルリングに代表されるように解析対象がますます複雑化しており、電磁界解析時の計算時間のさらなる高速化に関する課題は深刻さを増している状況にある。このような背景のもと、本研究においては、機器解析の高速化による実用性の向上や、複雑形状を有する電気機器の省エネルギー設計に耐えうる高精度な数値解析手法の開発を目的としている。 電磁現象は本質的な特性としてその影響が広範な領域に及ぶため、機器本体以外にその周辺の空気領域も含めて解析する必要がある。特に、機器内に積層鉄心のような高アスペクト比を有する部材が用いられている場合には、部材における扁平メッシュ形状の影響が空気領域のメッシュ分割にも及び、総メッシュ数が増大し、磁気ベクトルポテンシャルや電気スカラポテンシャルなどの未知変数の求解、すなわち連立一次方程式を解く際の計算時間の大幅な増加につながる恐れがある。 上記の計算コストを削減するための方策の一つとして、本研究では、有限要素解析をベースに無限辺要素を併用する開領域問題解析手法の開発を行った。提案手法においては、解くべきシステムマトリクスの対称性およびスパース性を失わない定式化の開発を行い、開発手法の解析精度や収束性などの特性を、様々なベンチマークモデルを用いて調査した。特に、機器設計において評価対象となる電磁力やインダクタンスなどにも焦点を当てて開発手法の妥当性の検証を行った。最終的には積層鉄心を含む例題にも開発手法を適用し、従来の有限要素法のみによる解析時と比較し、十分な解析精度を保ったまま大幅な計算時間の短縮を実現し、提案手法の有効性を実証した。
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