2010 Fiscal Year Annual Research Report
光照射エッチングによる平坦、大面積多孔質シリコン膜の作製とデバイスへの応用
Project/Area Number |
20560290
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
安達 定雄 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10202631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊博 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90451715)
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Keywords | 多孔質Si / 陽極化成 / 光エッチング / 蛍光体 / LED / ポーラス |
Research Abstract |
研究3年目は、以下の3つの研究項目を目標に研究を進めた。1)光エッチング及び陽極化成で作製した多孔質Siの発光現象の解明、2)多孔質Siの微粒子化、3)HF/酸化剤混合溶液による新奇蛍光体の作製。この年度は本研究の最終年度であるため、特に総括的な視点で研究を進めた。1)では、低温での発光スペクトルに多ピーク構造が観測されることを発見し、理論解析に成功した。2)では、HF/AgNO_3混合液による微結晶Siの多孔質化と複合物質の作製に成功した。また、Ag微粒子による表面プラズモンの影響を明らかにした。さらに、GaAs微粒子からのランダムレーザ発振も観測した。3)では、前年度に引続き、赤色蛍光体の合成に挑戦し、Na_2SnF_6・H_2O:Mn^<4+>という非常に珍しい水和物の蛍光体を作製した。この蛍光体は、真空引き、アルコール浸漬あるいは大気中昇温により結晶水が離脱し、これによる結晶歪に起因した発光スペクトルの可逆的変化を観測した。さらに、前年度までの研究対象であった赤色蛍光体と同じ母体結晶のK_2SiF_6に、K_2Cr_2O_7をソースとすることによる2価のMnイオンドープに成功し、赤色ではなく黄色発光を観測した。このような蛍光体の例は、これまで全く報告されていない。Ti金属の六フッ化物にMn^<4+>を賦活することで、Si系に代わる新しい赤色蛍光体も作製した。 上記研究成果の重要性として、1)では多ピーク構造の解明という学問的貢献だけでなく、発光波長の制御のための指針を与えた。2)のSi微粒子などのポーラス化・複合物質化が、センサーなどの新しいデバイス応用への展開に期待が持てる。3)の赤色、黄色蛍光体は「希土類元素フリー」の蛍光体であり、特に白色LED(発光ダイオード)や新奇分野への応用に期待が持てる。実際、野菜の促成栽培への応用に関する研究も企業と開始したところである。
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