2009 Fiscal Year Annual Research Report
対向ターゲット式交互堆積反応性スパッタ法による硫化銅インジウム薄膜の作製
Project/Area Number |
20560292
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坪井 望 Niigata University, 自然科学系, 教授 (70217371)
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Keywords | カルコパイライト / 薄膜太陽電池 / スパッタ法 / 硫化銅インジウム / 太陽電池 / 薄膜 / 化合物半導体 / 多元系 |
Research Abstract |
昨年度に構築した2組の対向ターゲット対を有するスパッタ装置を用いて,反応性CS_2ガス中でCu及びInを原子層オーダーで交互スパッタすることでCuInS_2薄膜を作製した。化学量論組成付近のX線回折結果ではCuInS_2のみが観られた。Cu-richでは,CS_2ガス供給の方法や量に依らず,CuInS_2が支配的であったもののCu_<1.96>Sが僅かに混在していた。この事実は組成が(Cu_<1.96>S)-(CuInS_2)系であったことに矛盾しない。一方,In-richでは高CS_2ガス分圧をCuターゲット側から供給した場合はCuIn_5S_8が支配的で,Inターゲット側から供給した場合はIn_2S_3が出現した。この事実は組成が(CuInS_2)-(CuIn_5S_8)-(In_2S_3)系であったことに矛盾しない。また,低CS_2ガス分圧下ではInSまたはIn_5S_4が出現した。この結果は組成が(CuInS_2)-(InS,In_5S_4)系であったことに矛盾しない。また,Cの混入が観られたが,CS_2供給方法に依らず,その量は[Cu]/[In]比に対応していた。また,CS_2の代わりにDitertiarybutylsulfideを用いた場合は反応性が低く,現時点でCuInS_2生成には至っていない。以上の結果は,原料種の供給方法のCuInS_2生成過程への関連を示している。これらを基に,ソーダライムガラス基板上に直流スパッタ法によりMo薄膜を堆積し,その上にCuInS_2薄膜を作製した。その配向性や堆積速度はソーダライムガラス基板上の場合より大きかった。多元蒸着法による高品質CuInS_2薄膜作製においては,GaAs基板上でカルコパイライト構造のc軸方向エピタキシャル成長条件を明らかにすると共に,膜厚増加に伴って引張り格子不整合歪みの緩和がすすむこと,その緩和により生じる格子欠陥が結晶構造の乱れに関連していることがわかった。
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Research Products
(8 results)