2010 Fiscal Year Annual Research Report
対向ターゲット式交互堆積反応性スパッタ法による硫化銅インジウム薄膜の作製
Project/Area Number |
20560292
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坪井 望 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70217371)
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Keywords | カルコパイライト / 薄膜太陽電池 / スパッタ法 / 硫化銅インジウム / 太陽電池 / 薄膜 / 化合物半導体 / 多元系 |
Research Abstract |
改造した2組の対向ターゲット対を有するスパッタ装置で,ガラス基板上にCuとInを原子層オーダーで交互堆積する際にCS_2ガスをCuもしくはInのターゲット側から供給することにより,CuInS_2薄膜が作製できることを昨年度までに明らかにした。本年度は基板温度等の堆積条件を変化させた。基板温度上昇で堆積速度に顕著な変化はなかったが,結晶粒の増大傾向が観られた。組成は堆積条件に依らず,CuとInの堆積時間比に対応して(Cu_xS)-(CuInS_2)-(CuIn_5S_8)-(In_2S_3)組成直線上で変化した。化学量論組成ではCuInS_2のみであったが,Cu-richではCu_<1.396>Sが混在した。In-richでは基板温度上昇により,CS_2ガスをCuターゲット側から供給した場合に出現するIn_5S_8が消失し,CS_2ガスをInターゲット側から供給した場合に出現するIn_2S_3が減少した。下部電極用Mo薄膜上では,成長速度,配向性及び結晶性が向上する傾向が観られた。CS_2の代わりにDitertiarybutylsulfideを用いた場合は反応性が低く,CuInS_2生成には至っていない。多元蒸着法によるGaAs及びGaP基板上でのCuInS_2エビ薄膜では,Cu/In比および格子不整合による格子歪みが結晶構造の乱れに関連していた。これらの結果は原料種の供給条件に加えて,基板種及びその温度がCuInS_2生成過程に密接に関連していることを示唆している。太陽電池セル用のCdフリーのバッファー層として,ケミカルバス法によるZnS薄膜の作製に取り組み,酸素の混在が観られるものの,禁制帯幅に対応した吸収端を有する薄膜が作製できた。現在取り組んでいるスパッタ法による低抵抗n形ZnO:A1薄膜の作製条件を確立し,今後の太陽電池セル試作につなげていく。
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Research Products
(6 results)