2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブをコアとした有機薄膜太陽電池の研究
Project/Area Number |
20560297
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
曽我 哲夫 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (20197007)
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
有機薄膜太陽電池はシリコン系太陽電池に代わる低コスト太陽電池として期待されているが、電気抵抗が高く変換効率が低下するという問題がある。そこで導電性が高いカーボンナノチューブをコアとすることによる変換効率向上を目指し、カーボンナノチューブを添加した高分子有機太陽電池と色素増感太陽電池を作製して特性評価を行った。特に、フレキシブルなプラスチック基板を目的として150℃以下の低温での色素増感太陽電池の作製を試みた。 P3HT、PCBMをドナー、アクセプタとするバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池の活性層に単層カーボンナノチューブを添加したところ、短絡電流や開放電圧は低下し、変換効率は悪化した。これはカーボンナノチューブ導入による活性層と電極の並列抵抗の減少によるものと考えられ、活性層と電極の間にカーボンナノチューブを含まないキャップ層を導入したところ、短絡電流と変換効率は共に向上することを確認した。また、太陽光を有効に利用するために有機薄膜太陽電池に色素を添加し、有機薄膜の特性変化と太陽電池特性を明らかにした。 焼成温度が低温の150℃で作製した二酸化チタン系の色素増感太陽電池に多層カーボンナノチューブを添加したところ、変換効率は低下した。これはカーボンナノチューブが表面の露出しているためと考えられ、四塩化チタン処理を施したところ、開放電圧は余り変化しないが短絡電流と変換効率には向上が見られた。 以上の結果より、カーボンナノチューブを有機太陽電池に適用する際の有用性と課題が明らかにされた。
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