2008 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体のメモリ保持特性を利用した振動型MEMS構造体の不揮発的共振制御
Project/Area Number |
20560299
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 馨 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (40263230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 孝之 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (50336830)
野田 実 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20294168)
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Keywords | 圧電体 / 強誘電体 / 分極 / MEMS / 共振 / 応力 |
Research Abstract |
本研究では、共振型MEMS構造体において、圧電体による電気・機械結合を通じてその共振周波数を制御する方法を提案する。今年度は圧電ダイアフラムでの共振周波数シフトのメカニズムを明らかにする第一段階として、構造による共振周波数シフト方向の違いに着目して研究を行った。研究代表者の以前の研究結果とスイスEPFLグループの結果でバイアス電圧印加に対する共振周波数シフト方向が逆転しているが、これはダイアフラムが静的に撓みを持つかどうかによるものと予想された。そこで、作製プロセスと構造を工夫することにより、撓み形状の異なる圧電ダイアフラムを作製することを試みた。薄いダイアフラム構造は、基本的に両面熱酸化したSOIウェハを裏面から異方性エッチングすることにより作製する。ここで、異方性エッチングがSOIの埋込み酸化膜層で自動的に停止するので、この状態で数μm程度の厚みを持つSiO_2/Si/SiO_2積層構造の自立薄板が形成され、SiO_2の圧縮応力が解放された結果静的に撓んだ構造が出来上がる。この構造上にPZTキャパシタを形成すると、若干撓み量が減少するものの、構造完成時点でも3〜6μm程度の撓みを確保できる。一方、エッチングを一旦停止して、厚いシリコンが残った平坦な状態でPZTキャパシタを形成すると、その後残りのシリコンをエッチングで取り除いてダイアフラムを完成しても、静的撓みを生じず平坦なダイアフラム(撓み量0.5μm程度以下)を作製することができた。このようにして作製した両構造において、バイアス電圧印加時の共振周波数をパルス超音波に対する応答として測定したところ、従来の研究代表者の結果とEPFLグループの結果の双方を再現することができ、周波数シフトの方向が構造撓みの有無により決定されることを実証できた。
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