2008 Fiscal Year Annual Research Report
パルスパワーによるナノマテリアル表面改質とその応用
Project/Area Number |
20560303
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今坂 公宣 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (40264072)
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Keywords | パルスパワー / ナノマテリアル / 表面改質 / カーボンナノチューブ / ストリーマ放電 / pH / 水溶化 / カルボキシレートイオン |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は、半導体性や導電性、電子放出などの電気的性質に優れているため、電子デバイスの電気材料として極めて有力な材料である。しかし、CMNなどのナノマテリアルは一般に液体中では凝集体を形成しやすいため、応用上、本来の特徴を充分に発揮できないなどの解決すべき重要な問題がある。本研究では、実用化に向けたCNT水溶化処理効率の向上をパルスパワー技術の観点より検討することを目的とする。 本年度は、パルスパワーを用いた水中ストリーマ放電に影響する水の導電率とpHに着目して、CNT懸濁液の導電率とpHがCNT水溶化に及ぼす影響について検討した。得られた主な成果は、下記の通りである。 (1)単層CNT(SWCNT)は懸濁液が中性(pH=7)及びアルカリ性(pH>9)のときにストリーマ放電によって水溶化した。 特に、アルカリ性のときに極めてよく分散し、中性場合の約2倍のCNT水溶化に成功した。一方、酸性(pH<4)のときには、ほとんど分散せずに凝集・沈殿した。 (2)CNTの表面分析の結果、水中ストリーマ放電によってCNT表面にカルボキシレートイオン(-COO^-)が形成されることを明らかにした。 (3)CNT水溶化のメカニズムとして、酸性の場合、-COO^-のプロトン化のためにCNTは凝集・沈殿するが、中性及びアルカリ性の場合にはプロトン化が抑制されるため、静電反発力によって分散することを提唱した。 以上の成果は、水中ストリーマ放電を用いたCNT水溶化の高効率化における重要な結果である。
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Research Products
(3 results)