2009 Fiscal Year Annual Research Report
パルスパワーによるナノマテリアル表面改質とその応用
Project/Area Number |
20560303
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今坂 公宣 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (40264072)
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Keywords | パルスパワー / ナノマテリアル / 表面改質 / カーボンナノチューブ / ストリーマ放電 / ポリビニルアルコール / 水溶化 / 複合材料 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は、半導体性や導電性、電子放出などの電気的性質に優れているため、電子デバイスの電気材料として極めて有力な材料である。しかし、CNTなどのナノマテリアルは一般に液体中では凝集体を形成しやすいため、応用上、本来の特徴を充分に発揮できないなどの解決すべき重要な問題がある。本研究では、CNT水溶化処理効率の向上及びその応用を目的とする。 本年度は、CNT水溶化効率の向上に関して、パルスパワーを用いた水中ストリーマ放電の周波数の効果について検討するとともに、水溶化したCNTの複合材料への応用を実施した。得られた主な成果は、下記の通りである。 (1) 単層CNT(SWCNT)を水中ストリーマ放電によって水溶化した。このときの水溶化効率は、放電周波数の増加にともなって増加することがわかった。これは、放電周波数の増加により0ラジカルやオゾン等の活性種が増加したためと考えられる。 (2) 水溶化したCNTを用いて複合フィルムの作製を行った。複合材料の樹脂として水溶性のポリビニルアルコール(PVA)を用いた。水中ストリーマ放電で処理されたCNTは水溶性を示すため、PVA中で極めてよく分散することがわかった。この複合材料を用いてCNT/PVAフィルムを作製した。その表面抵抗率は、10^9Ω/□程度であった。 (3) 静電操作を利用したPVA樹脂中でのCNTの配向制御を試みた。電界計算に基づく理論的解析により、電界によりPVA樹脂中でCNTの動きを制御できることを示した。また、実験によりPVA樹脂中でのCNTの制御が可能であることを実証した。 これらの成果は、水中ストリーマ放電を用いたCNT水溶化の高効率化及びその応用における重要な結果であると考えれる。
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Research Products
(5 results)