2008 Fiscal Year Annual Research Report
液化水素用超伝導式液位センサの最適設計と拡張性に関する研究
Project/Area Number |
20560304
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柁川 一弘 Kyushu University, 超伝導システム科学研究センター, 准教授 (10294894)
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Keywords | 液体水素 / 超伝導式液位センサ / ニホウ化マグネシウム / 最適設計 / 数値解析 / 複合超伝導体 / 熱的安定性 / 最小伝播電流 |
Research Abstract |
将来の水素利用社会において、貯蔵密度の観点から有利な形態である液体水素の有効利用を目指して、容需内の残量を外部から高精度に高信頼度を持って計測可能なセンサが望まれている。そこで、従来の検討内容として、ニホウ化マグネシウム(MgB2)超伝導線材を用いた液体水素用液位センサを試作し、その実現可能性を実験的に検証したが、正常動作には比較的大きな電流通電が必要であり、結果として極低温環境での発熱量も大きくなるため、その低減が実用化に向けての課題となっていた。このような背景の下、今年度は、これまでに得られた常伝導部伝播現象や液位センサ動作試験に対する実験結果を数値的に再現するプログラムコードを作成した。本プログラムコードでは、各種構成材料の磁気的および熱的物性値の実測値や文献値を用いて、熱平衡方程式を差分法で離散化することにより濫度分布を数値的に求めている。次に、この数値解析コードを用いて、液体水素用液位センサにおける通電電流や発熱量の低減に向けたMgB_2,線材の設計指針を検討した。その結果、液位センサの11三常動作中に消費する電力を抑制するためには、臨界電流密度を変化させるのではなく、線径を細くし、かつMgB_2超伝導体の臨界濃度を低減することが有効な方策であることを明らかとした。また、化合物であるMgB_2超伝導体の線材化にはシース材が不可欠なため、このシース材の候補として考えられる複数の金属材料の物性値(特に、電気抵抗率)が液位センサの動作に与える影響についても検討したが、発熱肚の観点からは今回対象とした3種類のシース材の優劣を判断できないことがわかった。これらの内容は、従来の冷却安定性に基づく理論解析結果とも良く一致することがわかった。
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