2009 Fiscal Year Annual Research Report
低成長温度(Cu,C)系超伝導薄膜材料の多層構造化による高性能化・新機能発現
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20560305
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺田 教男 Kagoshima University, 理工学研究科(工学系), 教授 (20322323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 哲治 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (20347082)
小原 幸三 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (10094129)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 量子エレクトロニクス / 強相関エレクトロニクス / 酸化物人工格子 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
電荷供給層内にCuイオンを含むCu系,(Cu,C)系超伝導体は、電荷供給層の酸化度、単位胞内ホール分布及びバンド間エネルギー差などの電子構造の変調範囲が広く、人工格子法に代表される薄膜合成手法が適用できれば、臨界温度、異方性等の広範な変調が期待される。(Cu,C)系高温超伝導体の共通部分構造であり、従来、高圧合成法により形成されてきた(Cu,C)Ba_2CuO_<2±δ>[(Cu,C)-1201]相に関して、昨年度までにエピタキシャル成長及びCO_2ガスの成長時導入による構造安定化により低成長温度・超伝導発現を同時に実現した。この系は、CaCuO_2無限層構造挿入による多層構造化によって超伝導特性が向上、Cuイオンを含む電荷供給層の広い電子構造の変調幅を利用した多層構造における非等価なCuO_2面間のキャリア配分の制御による物性の多様な制御が期待できることから、引き続いて、多層構造化のための一環として(Cu,C)-1201薄膜の超平坦化、(Cu,C)-1201、CaCuO_2層をパルスレーザ堆積法により交互堆積した積層構造膜の作製を試みた。その結果、(Cu,C)-1201薄膜は面内格子定数のミスフィット率が1.36%と大きいSrTiO_3(001)基板に直接成長した場合、表面粗さが約1.28nmと1201層のc軸長の1.5倍程度であるが、同形構造をもつSrCuO_2相をバッファ層(ミスフィット率:SrTiO_3-SrCuO_2間;0.98%、(Cu,C)-1201-SrCuO_2間;0.38%)を挿入することにより、表面粗さは約0.23nmと1201相のc軸長の1/4程度まで抑制された。このとき、成長雰囲気の酸化性を最適化することで、表面粗さが0,42nmと1201相のc軸長の1/2程度の表面平坦性を持ち、かつ高い超伝導特性を合わせ持つ平坦化超伝導薄膜を実現した。また、この結果を踏まえ(Cu,C)-1201/CaCuO_2/(Cu,C)-1201/SrCuO_2/SrTiO_3人工積層構造の成長を試みたところ、ヘテロエピタキシャル成長に成功し、積層構造においても表面粗さが0.44nmと1201相のc軸長の1/2程度の表面平坦性の実現、超伝導特性の大幅な改善等の顕著な成果を達成した。
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