2010 Fiscal Year Annual Research Report
低成長温度(Cu,C)系超伝導薄膜材料の多層構造化による高性能化・新機能発現
Project/Area Number |
20560305
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺田 教男 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20322323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 哲治 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (20347082)
小原 幸三 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (10094129)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 量子エレクトロニクス / 強相関エレクトロニクス / 酸化物人工格子 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
超伝導を利用したデバイスは、超高速動作、低消費電力といった高いポテンシャルを持つ、反面、毒性元素の含有、高い形成温度・超伝導異方性などの応用上の問題を持つ高温超伝導体に対して、本研究では毒性元素を含まず、多層化することで超伝導転移温度が向上すると期待されているCu系高温超伝導体に注目した。この系はバルクにおいては高温高圧化でのみ成長する準安定層であるが、まず、基板によるエピタキシャル効果と炭酸基添加よる構造安定化により、低成長温度500から600℃において、(Cu,C)-1201構造の薄膜形成に成功した。しかし、この薄膜は表面が凹凸で特性向上が見込める多層化への移行が困難であったことから、続いて、基板と薄膜の中間の格子定数・類似の結晶構造を持つSrCuO_2をバッファとして挿入する手法を導入した。その結果、超伝導性と多層型に必要平坦性を持つ(Cu,C)-1201の作製条件の確立に成功した。この上に1201層とCaCuO_2無限層を交互堆積した[CaCuO_2/(Cu,C)-1201]×N構造を行ったところ、CaCuO_2膜厚が7.0Å、10.5ÅにおいてそれぞれT_<c-onset>:100K、T_c(p=0):70K級の高い超伝導特性を持つ超伝導薄膜の作製に成功した。この膜の構造を解析結果から、この超伝導特性の大幅な向上はCaCuO_2-(Cu,C)-1201界面における歪効果を検討したところ、SuCuO2膜厚に依存する系統的特性変化が見られ、面内歪効果によって、超伝導特性が影響を受けることを確認した。以上、人工積層手法による、毒性元素を含まず、高臨界温度を有する高温超伝導薄膜材料の創成という本研究課題の目的を達成したと考える。
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Research Products
(12 results)