2009 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー電子線と高分子材料の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
20560306
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鈴木 敬久 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 准教授 (30336515)
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Keywords | 高エネルギー粒子 / 誘電体物性 / 感温液晶マイクロカプセル |
Research Abstract |
本年度は,感温液晶マイクロカプセル(MTLC)による温度可視化データの定量化の改善と電子線照射時の物質中での電子と高分子材料の相互作用を扱うシミュレーションコードの開発を行った.MTLC法では温度上昇と電子線による被照射材料へのエネルギー吸収を関連づけることを目的にしている.このためMTLCにより可視化された温度分布を精度よく定量化する必要がある.前年度までは非圧縮デジタル画像を取得する事による画質の改善と,定量化においては温度をパラメータとするMTLCの発色特性をRGB色空間上の軌跡として表示し,温度と色を1対1対応させる校正手法を開発し,温度定量化の精度を高めた.しかしこの手法では照明用電源の不安定性に起因する入射光強度の変化,また試料中に分散させるMTLC濃度の不確かさにより,定量化された温度に不確実性が生じる問題点があった.本年度はこれらの不確かさにより生じる色空間中の曲面を利用した温度定量化補償法を開発し,その手法がロバストな定量化手法であることを実証した.さらに今年度は高エネルギー電子と被照射材料との相互作用モデルを検討し,相対論的な効果を取り入れた粒子シミュレーションコードの開発を行った.今年度はこの粒子コードを用いて,実験の条件を考慮した予備的なシミュレーションを行った.この予備的な検討の結果,1.OMeV,1.5eV,2.OeVの電子の加速エネルギーの条件において,シミュレーションによる電子の蓄積位置と実験においてPEA法(パルス静電応力法)で測定した実験結果にある程度の一致性が確認された.またシミュレーションによる反跳電子の蓄積位置とMTLC測定により得られた温度上昇が最大になる位置に関してその表面からの深さがほぼ一致するような結果が得られた.
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Research Products
(3 results)