2008 Fiscal Year Annual Research Report
LSIと共存可能なシリコン・イオン注入型MOS発光素子の研究
Project/Area Number |
20560307
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
松田 敏弘 Toyama Prefectural University, 工学部, 教授 (70326073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 栄之 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80223402)
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Keywords | イオン注入 / MOS容量 / 発光 / エレクトロルミネッセンス / イオン・ビーム・スパッタ / 透明電極 |
Research Abstract |
大規模集積回路(LSI)は、微細化によって、チップ内あるいはチップ間の信号伝達の高速化が重要な課題であり、電磁波や光を用いる研究が行われている。光による信号伝達のためには、LSIチップ内に共存できる発光素子が必要であり、表示機能の内蔵などの高機能化にも寄与できる。本研究では、シリコン・イオン注入したゲート酸化膜を持つMOS構造を利用したLSIと共存可能な「青色」を含むシリコン系材料による可視発光素子(以下、シリコン・イオン注入型MOS発光素子)に関するものである。 n形シリコンウエハ上に厚さ30nmの酸化膜を作製し、シリコン・イオン注入によって過剰なシリコンを酸化膜中に導入した。シリコン・イオンのドーズ量は、0.5〜1.5×10^<16>cm^<-2>とした。シリコン・イオン注入した酸化膜の上面にAuまたはITOを用いて電極を形成しMOS構造とした。酸化膜形成には、通常の熱酸化に加え、将来の積層化に有利なCVDによる方法も検討した。電気的特性については、印加可能電圧は10〜40Vの範囲となり、シリコン・イオンのドーズ量の増加とともに減少した。I-V特性はヒステリシスを示し、10^<-8>〜10^<-7>A/cm^2付近で観測される電流密度の上昇が影響している。また、容量-電圧特性でも、印加電圧の変化にともなってヒステリシス特性を示した。酸化膜中の過剰なシリコン・イオンによる界面準位が存在し、印加電圧の極性によって捕獲される電荷が変化し、しきい値電圧のヒステリシスとして現れると考えられる。酸化膜の形成法の違いによって、電気的特性に大きな影響は見られず、CVD膜をMOS構造の酸化膜とする可能性があることが分かった。
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