2009 Fiscal Year Annual Research Report
LSIと共存可能なシリコン・イオン注入型MOS発光素子の研究
Project/Area Number |
20560307
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
松田 敏弘 Toyama Prefectural University, 工学部, 教授 (70326073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 栄之 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80223402)
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Keywords | イオン注入 / MOS容量 / 発光 / エレクトロルミネッセンス / イオン・ビーム・スパッタ / 透明電極 |
Research Abstract |
大規模集積回路(LSI)は、微細化によって、チップ内あるいはチップ間の信号伝達の高速化が重要な課題であり、電磁波や光を用いる研究が行われている。光による信号伝達のためには、LSIチップ内に共存できる発光素子が必要であり、表示機能の内蔵などの高機能化にも寄与できる。本研究では、シリコン・イオン注入したゲート酸化膜を持つMOS構造を利用したLSIと共存可能な「青色」を含むシリコン系材料による可視発光素子(以下、シリコン・イオン注入型MOS発光素子)に関するものである。n形シリコンウエハ上に厚さ30nmの酸化膜を作製し、シリコン・イオン注入によって過剰なシリコンを酸化膜中に導入した。シリコン・イオン注入エネルギーを5、 10keVとして、それぞれドーズ量を0.5~1.5×10^16cm^-2に変化させた試料を作製した。アニール温度は、900℃、 1000℃とした。基板裏面にはA1膜を、シリコン・イオン注入した酸化膜の上面にはAu薄膜を用いて電極を形成しMOS構造とした。電流-電圧特性におけるヒステリシス特性について、正負の電圧掃引方向での電流値の差(HW)とHWを掃引時間で積分した総電荷量(ICHW)を新たな指標として解析した。HWとICHWは、電圧印加を繰り返すと4サイクル後で収束し、5サイクル以降の測定値を用いることで安定した解析が可能であることを示した。正方向の電圧掃引時のICHW(+ICHW)の全IC進に対する割合は、シリコン・イオン注入した試料では高電圧で上昇し、酸化膜中への電荷の蓄積が非対称であることを示した。ヒステリシス特性を持つことは不揮発性メモリとしての可能性も期待できる。EL発光特性解析を行った結果、2.7、 2.3、 1.9、 1.7および1.3eVの波長成分を持ち、シリコン・イオンの注入エネルギー、ドーズ量によって優勢となる波長が変化することを示した。
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