2010 Fiscal Year Annual Research Report
LSIと共存可能なシリコン・イオン注入型MOS発光素子の研究
Project/Area Number |
20560307
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
松田 敏弘 富山県立大学, 工学部, 教授 (70326073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 栄之 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80223402)
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Keywords | イオン注入 / MOS容量 / 発光 / エレクトロルミネッセンス / イオン・ビーム・スパッタ / 透明電極 |
Research Abstract |
大規模集積回路(LSI)チップ内に共存できる発光素子は、光によるLSIの信号伝達や表示機能の内蔵などの高機能化に寄与できる。シリコン・イオン注入したゲート酸化膜を持つMOS構造を利用したLSIと共存可能な「青色」を含むシリコン系材料による可視発光素子に関する研究を行った。 n形シリコン基板上に厚さ30nmの酸化膜を作製し、シリコン・イオン注入によって過剰なシリコンを酸化膜中に導入した。シリコン・イオンのドーズ量は、0.5~1.5×10^<16>cm^<-2>とした。シリコン・イオン注入した酸化膜の上面にAu電極を形成し、MOS構造とした。 発光特性解析では、注入エネルギー5keV、ドーズ量0.5×10^<16>cm^<-2>のものを除きすべての試料で発光を確認した。5keVの試料では、2.7eVに明確なピークが確認されたのに対し、10keVの試料は、短波長成分の発光強度が減少した。分光特性を5つのガウス分布に分離し、その発光中心エネルギーは、1.3、1.7、1.9、2.3、2.7eVであった。シリコン・イオン注入によって形成された酸化膜中の準位に電子が捕獲され、発光すると考えられる。1.6~2.8eVは、Siイオン注入によって生じた捕獲準位によると考えられ、1.2eVは、シリコンナノ結晶に起因する発光の可能性がある。交流駆動では、発光強度が増大し、周波数によって分光特性が変化した。1kHzでは2.7eVの発光強度が大きく、10、100kHzでは赤外領域付近の発光強度が増加した。 CVDによってゲート酸化膜を形成した試料は、熱酸化によるものとほぼ同等の電気的特性を示した。また、下部電極をポリシリコンとした試料では耐圧が低下しており、今後、改善する必要がある。
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